Skip to main content

春分の日

自然をたたえ、生物をいつくしむ日

ぼたもちと桜
Photo by katorisi / CC BY-SA 3.0

春分の日(しゅんぶんのひ)は、毎年3月20日または3月21日ごろに訪れる国民の祝日です。祝日法における趣旨は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」こととされています。昼と夜の長さがほぼ同じになる天文学的な節気であり、春の訪れと生命の息吹を祝う日です。

日付が固定されていない「移動祝日」

日本の祝日の多くは「〇月〇日」や「〇月の第〇月曜日」と法律で明確に定められていますが、「春分の日」と「秋分の日」は法律で具体的な日付が指定されていません。祝日法には「春分日(しゅんぶんび)」とだけ記されています。

地球が太陽の周りを回る周期(公転周期)はきっちり365日ではなく、約365.24219日です。この端数(約6時間)のズレにより、太陽が天球上の「春分点(黄道と赤道が交わる点)」を通過する日時が年によって微妙に変動します。

そのため、毎年2月に国立天文台が発行する『暦象年表』という官報の告示に基づいて、翌年の春分の日が最終的に決定されます。近年は3月20日または3月21日のいずれかになることがほとんどです。天文学的な計算結果がそのまま国家の祝日を決定する、世界でも珍しいシステムです。

歴史的背景:「春季皇霊祭」から「春分の日」へ

戦前、この日は「春季皇霊祭(しゅんきこうれいさい)」という国家の祝祭日でした。皇霊祭とは、皇居の宮中三殿(皇霊殿)において天皇が歴代の天皇・皇后・皇親の霊を祭る儀式のことです。

戦後の1948年(昭和23年)、GHQの神道指令に基づく皇室と国家の分離政策により、皇室の私的な祭祀である皇霊祭を国民の祝日とすることは不適切とされました。そこで、古くから農耕儀礼として自然の恵みや祖先を敬ってきた日本の土着の文化と結びつけ、「自然をたたえ、生物をいつくしむ」という普遍的なテーマを持つ「春分の日」として生まれ変わりました。

お彼岸(おひがん)と「ぼたもち」

春分の日を中日(ちゅうにち)とする前後3日間、合計7日間の期間を「春のお彼岸」と呼びます。

仏教の教えでは、迷いのない悟りの世界(彼岸・あの世)は西にあり、私たちのいる迷いの世界(此岸・この世)は東にあるとされています。春分の日(と秋分の日)は、太陽が真東から昇り真西へ沈むため、この世とあの世が最も通じやすくなる日と考えられました。そのため、お墓参りをしてご先祖様を供養する風習が定着しました。

春のお彼岸には「ぼたもち(牡丹餅)」を食べる風習があります。小豆の赤い色には邪気を払う力があると信じられていました。ちなみに、秋のお彼岸に食べる「おはぎ(御萩)」は全く同じ食べ物ですが、季節の花(春の牡丹、秋の萩)にちなんで呼び名が変わります。また、春の小豆は冬を越して皮が硬いため「こしあん」に、秋は収穫したばかりで皮が柔らかいため「つぶあん」にするという違いもありました。

春分(3月20日・21日付近)に起こった歴史的事件・ニュース

  • 1882年(明治15年)3月20日: 上野動物園が開園。日本初の近代的な動物園です。
  • 1995年(平成7年)3月20日: 地下鉄サリン事件発生。オウム真理教の信者が東京の地下鉄に猛毒のサリンを散布し、13人が死亡、6000人以上が負傷するという未曾有の無差別テロ事件となりました。(この日は月曜日で、春分の日(3月21日)の前日でした。)
  • 2003年(平成15年)3月20日: イラク戦争開戦。アメリカ軍を中心とする多国籍軍がイラクへの空爆を開始しました。
  • 2006年(平成18年)3月21日: 第一回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝戦が行われ、日本代表(王貞治監督)がキューバを破り、初代世界一に輝きました。

「暑さ寒さも彼岸まで」ということわざがあるように、春分の日は厳しい冬の寒さが和らぎ、本格的な春の訪れを感じる気象的な区切りでもあります。