天皇誕生日
天皇の誕生日を祝う日
天皇誕生日(てんのうたんじょうび)は、現在の天皇陛下(今上天皇)の誕生日を祝う国民の祝日です。祝日法における趣旨はそのまま「天皇の誕生日を祝う」とされています。天皇の代替わり(皇位継承)に伴い、日付が移動する唯一の祝日です。
歴史的経緯と日付の変遷
日本の統治者(天皇)の誕生日を祝う風習は、奈良時代の宝亀6年(775年)、光仁天皇の誕生日に「天長節(てんちょうせつ)」の儀式が行われたのが始まりとされています。「天長」とは老子の言葉「天長地久(てんちょうちきゅう)」に由来し、天地が永久に変わらないように、天皇の治世が長く続くことを願う意味が込められています。
近代以降、明治元年(1868年)に明治天皇の誕生日が国家の祝日として定められ、以降、天皇の代替わりごとに日付が変更されてきました。
近現代の天皇誕生日(天長節)の変遷
- 明治天皇(11月3日): 1868年〜1912年。戦後は「文化の日」として祝日として残っています。
- 大正天皇(8月31日/10月31日): 1913年〜1926年。元々は8月31日でしたが、猛暑期を避けるため秋の10月31日に「天長節祝日」として式典が行われました。現在は祝日ではありません。
- 昭和天皇(4月29日): 1927年〜1988年。戦前は「天長節」、戦後の1948年に祝日法により「天皇誕生日」と改称されました。崩御後は「みどりの日」を経て、現在は「昭和の日」として祝日として残っています。
- 上皇陛下/明仁さま(12月23日): 1989年(平成元年)〜2018年(平成30年)。退位されたため、現在は祝日ではなく平日となっています。上皇の誕生日を祝日とすると「新旧の天皇の権威が並立する(二重権威)」懸念があるという理由から、当面は平日とする措置がとられました。
- 今上天皇/徳仁さま(2月23日): 2020年(令和2年)から現在。令和の時代における天皇誕生日です。
一般参賀(いっぱんさんが)
天皇誕生日において最も有名な行事が、皇居で行われる「一般参賀」です。
天皇皇后両陛下をはじめとする皇族方が皇居の長和殿のベランダにお出ましになり、集まった多くの国民からのお祝いに応えられます。天皇陛下から直接、国民に向けたお言葉が述べられます。事前の申し込みは不要(※新型コロナウイルスの影響等で事前抽選制となった年もあります)で、誰でも皇居内に入ることができます。記帳所も設けられ、お祝いの記帳を行うことができます。
「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」と祝日の空白
2019年(平成31年/令和元年)は、日本の現代史において極めて珍しい「天皇誕生日が存在しない年」となりました。
平成の天皇(明仁さま)は4月30日に退位されたため、12月23日はすでに天皇誕生日ではありませんでした。一方、令和の天皇(徳仁さま)は5月1日に即位されましたが、2月23日はすでに過ぎていました。このため、2019年のカレンダーには天皇誕生日が1日も存在しなかったのです。
2月23日に起こった歴史的事件・ニュース
現在の天皇誕生日である2月23日は、語呂合わせから「富士山の日」や「ふろしきの日」にも制定されています。
- 1945年(昭和20年)2月23日: 第二次世界大戦の硫黄島の戦いにおいて、アメリカ海兵隊が摺鉢山の頂上に星条旗を掲揚。この瞬間を捉えた写真(硫黄島の星条旗)は世界的に有名になりました。
- 1960年(昭和35年)2月23日: 徳仁親王(現在の天皇陛下)が誕生されました。
- 1981年(昭和56年)2月23日: ローマ教皇として初めて、ヨハネ・パウロ2世が来日しました。
- 2006年(平成18年)2月23日: フィギュアスケートの荒川静香選手が、トリノオリンピックで日本人初となる金メダルを獲得。美しい「イナバウアー」が日本中でブームになりました。
天皇誕生日は、時代(元号)と直接結びついている祝日です。天皇の誕生日を国民全体で祝うとともに、その時代の歩みや天皇の平和への祈りに思いを致す日として定着しています。