山の日
山の日(やまのひ)は、毎年8月11日に定められている国民の祝日です。祝日法における趣旨は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」こととされています。2016年に施行された、比較的歴史の新しい祝日です。
最も新しい国民の祝日ができるまで
「山の日」は、1996年に施行された「海の日」から20年ぶりに新設された祝日です。
日本は国土の約7割を森林・山地が占める「山の国」です。古くから山を信仰の対象として敬い(山岳信仰)、林業によって木材を得て、山が蓄える水資源(緑のダム)によって農作物を育ててきました。
1990年代以降、「海の日」が祝日化されたことを受け、全国の山岳関係団体や自然保護団体から「山に感謝する日も必要だ」という声が上がり始めました。複数の府県が独自に「山の日」を条例で定める動きが広がり、最終的に超党派の国会議員連盟が祝日法改正案を提出。2014年(平成26年)に法案が成立し、2016年(平成28年)から施行されました。
なぜ「8月11日」なのか?
日付の決定にはいくつかの候補があり、議論が交わされました。
- 6月上旬説: 祝日のない6月に新設することで、国民の休日を増やすという案。しかし、梅雨の時期で山に親しみにくいという理由で却下されました。
- お盆の前日(8月12日)説: お盆休みと連続させやすいという案。しかし、1985年8月12日に発生した「日本航空123便墜落事故(御巣鷹の尾根)」の日付と重なるため、「お祝い・感謝の日」としては不適切であるとして見送られました。
最終的に選ばれたのが「8月11日」です。選定の理由は、漢字の「八」が山の形に似ていること、そして「11」が木が立ち並ぶ姿に見えることという視覚的な理由と、お盆休みに連続させやすく国民が長期休暇を取りやすいという現実的な理由が組み合わさったものでした。
特例による日付の移動(オリンピック特例)
「海の日」と同様に、「山の日」も東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う特例措置で日付が移動したことがあります。
オリンピックの閉会式に合わせて連休を作り、交通混雑を緩和するため、本来8月11日である山の日は、2020年(令和2年)は8月10日(月)へ、2021年(令和3年)は8月8日(日)(※翌9日が振替休日)へ移動しました。
山の恩恵と課題
山の日には、全国各地の名山で記念登山イベントや、森林ボランティアによる植樹・登山道の整備などが行われます。
日本の山は美しい一方で、林業の衰退に伴う人工林の荒廃、シカやイノシシによる獣害、地球温暖化に伴う高山植物の危機など、多くの課題を抱えています。また、中高年を中心とした登山ブームにより山岳遭難事故も増加しています。
山の日は、登山の楽しさを味わうと同時に、安全な登山への意識を高め、日本の森や水資源をどのように守っていくかを考える契機となっています。
8月11日に起こった歴史的事件・ニュース
- 1936年(昭和11年)8月11日: ベルリンオリンピックの女子200m平泳ぎで、前畑秀子選手が日本人女性として初の金メダルを獲得。ラジオ実況の「前畑がんばれ!」という叫び声は伝説となっています。
- 1989年(平成元年)8月11日: アメリカの無人惑星探査機「ボイジャー2号」が、太陽系最果ての惑星(当時)である海王星のリングを発見しました。
- 1999年(平成11年)8月11日: ヨーロッパからアジアにかけて、20世紀最後の皆既日食が観測されました。
- 2016年(平成28年)8月11日: 初めての「山の日」。全国各地の山々で記念イベントが行われ、多くの登山客で賑わいました。
お盆休みと直結することが多い山の日。遠くの山へ出かけなくても、近所の小高い丘を散歩したり、山の形を模した「山の日ケーキ」を食べたりと、様々な形で山に親しむことができる一日です。